ブランディング /

オウンドメディアとブランディング

最近新聞でこのような記事を目にしました。

32年ぶりに雑誌売り上げが書籍を下回る

大手取次の日本出版販売よると2016年3月期の雑誌の売上高が32年ぶりに書籍を下回ったと発表。女性向けファッション誌が11.8%と大幅に落ち込み、雑誌全体でも前年比9.9%減だった。雑誌返品率は40.9%となり、なかでもコンビニの雑誌の返品率が51.2%と高く、日販の加藤哲朗専務は記者会見で「この1年でコンビニで雑誌が売れなくなった」と話した。

※日本経済新聞 朝刊 2016年6月1日より引用

出版不況と言われはじめて久しく、雑誌の売上は毎年下がってきたようですが、2016年3月期は特に大幅に下がったようです。

幼い頃から雑誌に憧れを抱いた世代で、前職で雑誌社に在籍していた私は、このような記事を読むと残念な気持ちになるのですが、一方でWEBにおけるメディアの役割についても考えを巡らせてしまいます。

情報伝達手段としてのオウンドメディア

近年「オウンドメディア」という言葉をよく目にするようになりました。オウンドメディアとは、企業が自社で所有し、独自の情報を発信することで、訪問者との関係を築くことを目的とするメディアです。

既に多くの会社が自社のメディアを運営し始めていますが、弊社が制作するコーポレートサイトでもオウンドメディアの機能を導入する事例が増えています。

コーポレートサイトというと、取り扱い製品や企業の概要など、パンフレット的な情報が多くなりがちですが、オウンドメディアはそれとは違った質の情報を伝えることができます。

オウンドメディアで”情緒”を伝える

具体的にどのような質の情報を伝えられるかというと、それは「情緒的な情報」です。最近リリースした弊社の制作例、一般社団法人Forward to 1985 energy lifeさん(以下1985さん)のオフィシャルサイトを例にご紹介します。

1985さんは家庭での省エネルギーを推進する一般社団法人で、オフィシャルサイトではその活動の内容や実績を紹介していますが、”賢く省エネする”というコンセプトはなかなか伝わりにくいのが現状です。

そこでWEBサイトに導入しているのが、「1985 FAMITLY」というオウンドメディアです。

省エネを実践する家族を訪問して、どのように省エネを実際しているのか、工夫したポイントや専門家による解説、フォトギャラリーなどを交えてレポートします。定期的に新しいレポートが追加され、記事はアーカイブされていきます。

このようなレポートはどうすれば省エネできるか具体的に伝えられるだけでなく、工夫して省エネする家族を見せることで、「省エネも工夫してやると意外と楽しそうだな」とか「1985さんの活動は面白そうだ」と感情まで届く情報を発信することができます。

このようなオウンドメディアの事例は弊社制作実績にいくつもあるのですが、最近感じるのはこのような情緒的な情報はブランディングに貢献するということです。

取り扱い製品についていくら言葉を重ねてもなかなかブランドは伝わりませんが、商品を使っているシーンを情緒的にレポートするだけで、ブランドが伝わることもあります。ブランドは心に浮かぶイメージ。情緒的な情報を伝えることでブランディングされるというのも納得できる現象です。

まとめ

自社メディアはWEBが普及してから登場したものではなく、広報誌のようにこれまでもあったものです。

しかし、自社メディアをWEB上に持つことで運用しやすいという発信側と、情報収集の手段がWEB、スマホに移り変わってきたユーザー側の双方の理由から自社メディアをWEB上で展開するオウンドメディアが注目を浴びています。雑誌が低調になってしまった反面、こうのようなオウンドメディアが増えるとともに、作り手の雑誌からWEBへの流動も予想されます。オウンドメディアはこれから盛り上がりを見せるのではないかと思い注目しています。

この記事を書いた人

永井史威

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