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ヘアスタイリストが仕掛ける戦略的パーソナルブランディング「考える種を蒔く人」vol.2

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TURN harajukuにて開催しているトークイベント「考える種を蒔く人」は、「デザイン(Design)」の意味を広く捉え、新しいビジネスを生み出している人、クリエイティブな発想で活躍している人をゲストにお呼びし、これからのデザインの在り方を共に学んでいます。

6月21日に開催された第2回目のゲストは、「Terrace AOYAMA」の人気ヘアスタイリストとして活躍しながら、全国の美容室でチームビルディングの講師としても活動されている綱島伸さん。
顧客の職業、現在抱えている課題、これからの展望などをヒアリングし、ヘアスタイルから「自分の見せ方・伝え方」を提案している綱島さんの仕事スタイルは、いわば、「戦略的パーソナル・ブランディング」ともいえそうです。

第一部のトークセッションと第二部のヘアスタイルの実演(その場でお客様のコンサルとカットをライブで!)で構成された本セミナー。顧客をどのようにブランディングしていくのか、そして、ヘアスタイリストとしての自分自身をどうブランディングしているのか…聞き手の佐野(それからデザイン代表)が綱島さんの脳内にぐいぐい迫る様子をリポートします!(Report:杉山@広報)

 

第一部 トークセッション

「モテたい!」からはじまった、美容師への道

佐野 [ 以下さ ] )そもそも綱島さんは、どうして美容師を志したんですか?

綱島 [ 以下つ ] )「女の子にモテたい!」という一心で学生時代に野球を始めたのですが、もっとモテるために強くなりたい!という思いで練習をしていたら…

ゲスト 綱島 伸(Terrace AOYAMA トップヘアスタイリスト)

ゲスト 綱島 伸(Terrace AOYAMA トップヘアスタイリスト)

さ)…結局甲子園まで行ったんですよね?

つ)そうなんですよ!でも高校2年生でケガをし、野球以外の将来を考えなければいけなくなってしまって。そんなシリアスな場面なのに、そもそも野球を始めたきっかけは「女の子にモテたい」だったので、野球に代わる「モテる」仕事を探していったんですよね(笑)。

まずは洋服のスタイリストになり、次に一緒に仕事をした美容師という仕事に興味を持ち、スタイリストを3年勤めた後、美容院で働きながら学校に通い美容師になりました。

  聞き手 佐野彰彦(それからデザイン代表)

さ)職場でもやっぱりモテてる美容師さんっていました?

つ)いましたよ!
でも、実際に店舗に立つと僕の目指す「モテる」の意味が変わってきたんです。

当初考えていた“女の子からチヤホヤされる”=“モテる”ではなく、いろいろな年代の方に支持され愛され、売り上げをきっちりあげている先輩がいて、「ああ~かっこいいな。これこそ僕が目指すべく“モテる”姿だな」と。

 

お客様の「背景」を考え、五感をフル活用し お客様さえ気がつかない「自分」をみつけてあげる

さ)ヘアスタイリストとしてお客様と向き合うときに意識していることは何ですか?

つ)コンサルテーションをしてお客様の要望に応えていくわけですけれども、目の前に座っているお客様の頭から上のスタイルをただ考えるのではなく、季節の移り変わりや仕事環境、家庭環境、それに伴う精神状況やファッションなどの「流れゆくお客様の状況」を、いかに捉えてスタイルやお手入れ方法の提案ができるかという点をいつも意識しています。

さ)綱島さんに出会うまで通っていた美容院では、よく「どこに住んでいるんですか?」とか「休みの日は何していますか?」って質問責めにされていて、それがどうも面倒くさいというか、それが髪型の提案につながるのか(怒)??って思うことが多々あって(笑)。

つ)よくあるパターンですよね(笑)。
僕は目と鼻と耳など、自分の持っているものをフルに使って、お客様を質問責めにしなくてもお客様の情報をキャッチするよう努めています。 例えば、入店されるときにどちらの手でドアノブを引いたのかな?とか座るときに座面を見たから少し細かい性格の方かな?など、お客様を知るヒントは、相手から引き出さずとも分かってくるんですよね。
お客様に「この人、ちょっと違うな」と思ってもらうためには、「こっちから発見してあげる」ことが大切なんです。

さ)それって、お客様自身が気づいていないことも含まれているんですよね?

つ)はい。

さ)まさにそれは「ブラディング」ですね!
僕もウェブブランディングの仕事をする中で、『クライアントは自社の魅力や良いところにそもそも気づいていない』と気づきまして、そこをカタチにしてさしあげるのが「ブランディング」であり、仕事の真骨頂だと思っているんです。このあたりが、業種は違えど僕と綱島さんの共通点の一つかなと感じました。

 

顧客の心理を先に読み解いていく― そこがブランディングの出発点。

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つ)僕の仕事の最終目的は、「おまかせ」なんですよね。
カウンターだけのお寿司屋さんを想像してみてください。 そういうお寿司屋さんにいくと、ほぼほぼメニューは「おまかせ」になりますよね。 握ってくれる大将は、飲んでいる酒や会話からその人を想像し、その人にとって最高においしいお寿司を握ってくれたり、今まで自分が知らなかった食べ方を教えてくれたりしますよね。僕もそんな美容師になりたいなと日々思っているんですよ。

さ)その考え方も僕らがやっているウェブブランディングの解釈と共通します。 僕らはウェブサイトを軸として企業や商品・サービスを世の中に知らしめていくということ、しかもポジティブで強い印象を与えていくことを意識しています。
そこで一番大切なのは「コンテンツ」なんですよね。 しかもそのコンテンツは、受け手側が知りたいこと(顧客の心理)を先に読み解いてコンテンツを作っていく―僕たちの会社ではそのコンテンツの作り方を3S6G法と呼びメソッド化していますが―それが非常に大事な観点だと思っています。 でも「顧客の心理」はどうやって読み解けるようになっていくんですか?と質問されることも多いんですよね。

つ)そうですよね。僕も言われます。

さ)そのあたり、どう考えますか?

つ)読み解くための魔法なんて存在しないんですよね。「相手に興味を持つこと」と「人が気付かないことに気付いてやろうという時間の使い方をしているかということ」を実直に続けていくことが大切で、しかもそれを面白がれているかというところで差が出てくると思っています。 例えば、こうやって話をしている最中でも、「~~っていうことは、●●なのかな?」と常に相手のサインを感じ取れるようになるといいですよね。

さ)そのあたりは、野球の経験とはつながるところがあるんですか?

つ)それはサイン繋がりってことですかね(笑)。

 

綱島さん自身のブランディングで 大切にしていること

さ)綱島さんご自身がブランディングで大切にしていることはありますか?

つ)かつては、「モテたい」の一心ではじめた美容師ですが(笑)、現在の私は「生涯顧客」でいてくださる方を何人もてるか?という点を目標としています。
なので、カットやパーマなどの技術の枠を超えて、お客様が必要とされている情報をきちんと届けられることを自分のブランディングとして意識しています。 だから情報をインプットすることがとても重要なんですよ! 本やインターネットの情報だけではなく、実際にその場に行ったり、実際に会って話を聞いたりなど、生きた情報を自分の内にできるだけストックするよう心掛けています。

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この後、「顧客の要望に共感できないときにどう振る舞うか?」についての赤裸々トークや、全国の美容室で綱島さんが講師をされているセミナー「夢と足元」(「夢」は将来の夢、「足元」とは今日現在の自分のこと。この二つがつながっていないと、頑張るだけ無駄という意味を込めて命名)について、話は尽きることなく進んでいきます。
セミナーの参加者もビールなどの飲み物を片手に、二人のトークに深くうなずいたり笑ったりと楽しそうなのがとても印象的! お客様本人ですら気が付かなかったことを提案しカタチにしていくというところに、綱島さんの「戦略的パーソナル・ブランディング」と、佐野の「ウェブブランディング」との共通点を見つけた第一部でした。

第二部 実演

それからデザインの顧客様でブランディングを手がけさせてもらったゆたか建設の安食社長をカットモデルに、綱島さんがマイクをハサミに持ちかえて、「戦略的パーソナル・ブランディング」を皆の前で実演してくださいました。
第一部で語られていた「お客様が自分では気が付かなかったことをカタチにする」がどんどん目の前で起こっていくそのライブ感あふれる光景に、見ている私たちまでドキドキが止まりません!

カット前の安食社長。ピースで余裕の表情!?

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軽快なトークでハサミを自由自在に操る綱島さん

髪の毛をとかしながら、安食社長が小学生のころからコンプレックスだったくせ毛を最大の宝物だと褒める綱島さん。 まずはお客様のすべてを受け入れ、そこをきかっけに少しずつ理想の姿に変えていく様は、まさに「ブランディング」そのものでした。 さりげなく、梅雨時期の髪質の悩みに共感したり、経営者と声の大きさの関係性についての学術的は話をしたりなど、誰でもないまさに安食社長にフィットするTIPSを心地のよいテンポで話す綱島さん。そこには質問責めでもなくとても自然な、まるで何年も着て自分の体になじんだTシャツのように安食社長にしっくりとくる言葉や提案を紡ぎだす綱島さんのコンサルテーション力はさすがです!

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トークセッションでは見せなかった眼光するどくまさに職人の目をした綱島さんの手により、ご本人が気にされていたくせ毛の特徴を生かしながら、健康的でありながらも精悍な印象へ。 社長としての風格とご本人がお持ちの温かさを併せ持った、ハンサムテイストに変身です!

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佐野をはじめ、それからデザインが手がけさせていただくお仕事は、「その会社のデザイン部門」になる!という心意気で取り組ませていただいています。 ググッとお客様に迫り、「伝えたい事」を受け取る側が欲しいカタチでアウトプットを作り上げるという点で、広義の意味で綱島さんのお仕事の取組み方と一緒であると感じました。 実は、佐野以外にもそれからデザインのスタッフ数名が綱島さんにカットしてもらっているんです…。芸能人やスポーツ選手など多くの顧客を持つ綱島さん、我々スタッフのブランディングヘアカットも引き続きよろしくお願いいたします!!

 

Special thanks

7月のセミナー情報

起業家のための「セルフ・ブランディング」基礎講座 講師:守山 菜穂子(メディアプロデューサー/ブランドコンサルタント) 日時:7月13日(水) 19時~21時半

セルフ・ブランディングとは、自分の姿を、思い通りにお客様に伝えるための技術。 今回のセミナーは、『起業家のための「セルフ・ブランディング」基礎講座』と題し、メディアプロデューサー/ブランドコンサルタントとして現在注目されている、守山菜穂子さんを講師にお迎えし、個人のブランド力を上げる技術を教えていただきます。 起業家の方はもちろんのこと、これから独立を考えている方、会社の中で新規事業を担当される方、就活で自分をどう売るかを考えたい学生も歓迎です。 詳細・ご予約はこちら

この記事を書いた人

杉山久美子

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