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ブランディングの成果指標とは?

ブランディングは必要なことだと感じながらも、そこにどの程度の予算を投じることが適切なのか、そもそもブランディングの成果をどのように測定すればよいのか、が理解できずに、二の足を踏んでいる経営者は多い。
ブランディングの成否、導入への指標となるものは存在するのか。
今回は、その「ブランディングの成果指標」について考察してみる─。
(執筆:佐野彰彦/株式会社それからデザイン代表)

マーケティングとブランディングの違い

マーケティングは商品やサービス売上向上や販売効率化のために行うことであるのに対し、ブランディングとは、企業や事業の本質的な価値を高めたり、その価値を世の中に正しく伝えることです。
マーケティングは利益のためにお金を使いますが、ブランディングは企業のポテンシャルを上げるためにお金を使います。よって、ブランディングに「成果指標」という概念を当てること自体が、少々ナンセンスともいえます。
また、制作物を軸に見ると、マーケティングでつくるのは「広告」で、ブランディングでつくるのは「ロゴマーク」や「CI/VI」といったコンセプトやルールなどが代表的です。広告は一時的に打つものですが、ロゴマークは永続的に使うものです。
よって、ブランディングは、本来「減価償却」として経理計上すべきものともいえます。
つまり、「今年度の予算でブランディングを行う」という発想自体が、ややずれており、ブランディングの価値を理解しているとはいえない考え方です。

Webサイトは広告ではなく、ブランディング

永続的に使うものという点では、Webサイトもその範疇です。LPやキャンペーンサイトは「広告」ですが、コーポレートサイトやメディアサイトは、長く運用していくものですので、「ブランディング」と考えてよいと思います。
しかし、ブランディングの重要アイコンとして、コーポレートサイトを計画している企業はまだ多くはありません。「ブランディング」をお題目としているプロジェクトの多くは、グラフィック系のデザイン会社が主導となっており、Webサイトはオプション的な位置づけになっています。
印刷物は配布したらなくなってしまいますが、Webサイトはインターネット上に存在し続けます。この特性を利用しない手はありません。コーポレートサイトを軸としたブランディングを、当社では「Webブランディング」と名付けています。

Web解析を利用すれば、ブランディングの成果が可視化できる

Webサイトには、印刷物にはない大きな特徴があります。それが「Web解析」です。Google Analyticsを利用すれば、誰でも簡単に無料で、Webサイトのアクセス状況やコンバージョンを測定できます。
これまでWeb解析は、マーケティングの分野でしか扱われて来なかったものですが、それからデザインでは、ブランディングの効果を可視化するものとしても利用できると考えています。マーケティングではPV数やCV率というものが重視されますが、ブランディングではサイト滞在時間、一人あたりのPV数、リピート率などを重視します。
この分野については、現在、研究を進めている段階です。ブランディングの本質は、成果を追い求めるものでないことは前述のとおりですが、組織が大きくなるほど、共通認識に使えるデータは必要になるでしょう。それからデザインの提唱するWebブランディングは、ブランディングを絵に描いた餅で終わらせず、ブランディングを可視化していくことを目指しています。
今後も、ブランディングの成果指標についての研究を進め、随時紹介していきたいと考えています。

セミナーのお知らせ

セミナー名 経営に効くブランディングデザインの考え方と実例
講師 佐野 彰彦(企業ブランドデザイナー/株式会社それからデザイン代表)
日程 2016年4月15日(金)
時間 18:30開場 19:00〜講演開始
場所 TURN harajuku(渋谷区神宮前)
料金 1000円(1ドリンク付き)
定員 30名

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