Web制作を依頼するうえで、どのブラウザに対応するか?というテーマは、サイト自体の自由度や予算面などに大きく影響する重要な項目のひとつです。
なかでも、MicrosoftのInternet Explorerは、独自の仕様が多かったり、自動でバージョンアップされなかったり、各バージョンへの対応が必要になるため、依頼先によっては古いバージョンに対応する場合に別料金となることも。
いったいどのバージョンまで対応すればいいのでしょうか。今回は参考になる資料を集めました。
ブラウザシェアから見るIEの位置づけ
まず、ブラウザシェアですが、こちらは日本国内と世界とで異なります。定期的に国内外のブラウザシェアランキングを発表しているwebrageによると、Internet Explorerを含めた全ブラウザのシェア上位は以下のようになっています。(2017年9月21日時点)
世界のブラウザシェアランキング(TOP10)
1位 | Chrome 60.0 | 38.97% |
---|---|---|
2位 | Chrome 59.0 | 13.46% |
3位 | IE 11.0 | 7.1% |
4位 | Firefox 54.0 | 6.88% |
5位 | Safari 10.1 | 3.46% |
6位 | Firefox 55.0 | 2.79% |
7位 | Chrome 49.0 | 2.62% |
8位 | Edge 15 | 2.26% |
9位 | Chrome for Android | 1.39% |
10位 | Edge 14 | 1.37% |
IEのシェアは全体の約7%となっています。これに比べ、日本国内はどうでしょう。
日本国内のブラウザシェアランキング(TOP10)
1位 | Chrome 60.0 | 26.98% |
---|---|---|
2位 | IE 11.0 | 24.02% |
3位 | Firefox 54.0 | 9.31% |
4位 | Chrome 59.0 | 9.21% |
5位 | Firefox 55.0 | 4.21% |
6位 | Edge 15 | 4.01% |
7位 | Safari 10.1 | 3.61% |
8位 | Chrome 49.0 | 2.2% |
9位 | Chrome for Android | 1.99% |
10位 | Edge 14 | 1.73% |
ランキングの上位だけを見てもIE11が約24%と、世界に比べまだまだIEのシェアが高いことが伺えます。こういったことからも、日本国内向けのWebサイトを制作する場合は、まだまだIEの対応が無視できないものであるといえます。
参照元:https://webrage.jp/techblog/pc_browser_share/
IEの各バージョンのサポート期限
IEの「バージョン」はどうなっているのでしょうか。
Microsoft側の対策としては、各「OS」にサポート期限を設け、「サポート期限終了後は、使用の継続はできるが、セキュリティリスクやウイルス被害の可能性が高まる」と発表しています。以下は、各OSに搭載されているIEのバージョンとサポート期限の一覧です。
※グレーになっているものはサポートが終了しているもの。
OS | 搭載IEバージョン | サポート期限 |
---|---|---|
Windows XP | IE6 IE7 IE8 | 2014年4月8日 ※終了 |
Windows Vista | IE7 IE8 IE9 | 2017年4月11日 ※終了 |
Windows 7 | IE8 IE9 IE10 IE11 | 2020年1月14日 |
Windows 8 | IE10 | 2016年1月12日 ※終了 |
Windows 8.1 | IE11 | 2023年1月10日 |
Windows 10 | IE11 | 2025年10月14日 |
参照元:
https://www.microsoft.com/ja-jp/windowsforbusiness/end-of-xp-support
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/22882/windows-vista-end-of-support
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/article/windows10-portal/eos.aspx
上記を見ると、2020年までサポートされる「Windows 7」では、IE8〜10も使用できます。しかし、さらに調べると、2014年8月にMicrosoftは以下のように発表しています。
オペレーティング システムで利用可能な最新のブラウザーをまだ実行していないお客様に対し、Microsoft は、最新のセキュリティおよび機能を利用するためのアップグレードをお勧めします。2016 年 1 月 12 日以降、サポートされるオペレーティング システムで利用できる最新バージョンの Internet Explorer のみがテクニカル サポートとセキュリティ更新プログラムを提供されるようになります。(2014年8月7日 Microsoftサポート)
製造元であるMicrosoftとしては、ブラウザは、OSで使用できる最新バージョンのみをサポートするとしているため、現在は、IE11のみが、サポートされている状況と言えます。
まとめ
セキュリティ等を一括管理している企業などでは、社内PCすべてを一気にバージョンアップすることが難しいケースもあり、やむをえず旧バージョンIEの使用を継続している企業も多くあります。また、パソコンを買い替えずに使っている人、とくに年齢層が高いユーザーなどは、旧バージョンのまま使用している人が多いように感じます。
実際に当社が管理しているサイトのアクセス解析でOS分布を見てみると、ほとんどのサイトでIE11未満のアクセスがちらほら見られます。 全体の傾向としてはIE6〜10のアクセスが1ヶ月に4〜10%ほどとなっており、なかでも、BtoBのサイトでは、その割合が多少高い傾向があるようです。
Web制作を依頼する方自身がこうしたことをあらかじめ知っておくことは、技術面の話をスムーズに進めるうえで、大きなメリットになるはずです! これによって、もっと他の重要な話に時間を割くことができるはず。その一助になれば幸いです。