ブランディング /

「場所・空間」とブランディング

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ブランドは一連の体験だと言われますが、みなさんはどういった時にブランドを体験しているのでしょうか。例えばアップル社のiPhoneという商品に触れた時や、雑誌に掲載されたベンツのブランドストーリーを読んだ時、私たちはアップルやメルセデス・ベンツといったブランドを体験します。

こういったブランド体験のことを「ブランドエクスペリエンス」と呼んだりもするようですが、なかでも強いブランド体験を生むのは、場所や空間の体験ではないかと思います。ショップやショールームという空間でインテリアや接客などトータルのサービスに触れるという体験は、商品やストーリーを読む以上のブランド体験となります。

TUTAYA代官山の話

先日「社長、そのデザインでは売れません!」(川島蓉子著)という書籍を読みました。
著者の川島蓉子さんが、6人の経営者とクリエイターに「デザインと経営」についてインタビューする対談集のような書籍なのですが、その中にカルチュア・コンビニエンス・クラブ代表の増田宗昭さんとの対談が含まれていました。

増田さんのエピソードの中で印象的だったのが、「結局、場所、空間がブランドを作る」という言葉です。「エルメスの圧倒的なブランド力って、自前で揃えた店構え、接客、品質、インテリア、出店戦略があってこそ。」 スカーフをデパートに卸すだけでは決してブランドはできなかっただろうと、増田さんは語っています。

「場所でブランドを作る」という考えで作られたのがTUTAYA代官山だそうです。
こだわりぬいたインテリアやオススメの本を案内してくれるブックコンシェルジュ、併設するスターバックスコーヒーでゆったりと本を読む時間。私自身はじめてこの店舗を体験した時に、これまでのレンタルビデオ店TUTAYAのイメージが、豊かな時間を提供してくれる上質な書店のイメージへと変わったのを覚えています。

APPLE STOREの話

もう一つ、場所とブランドの関係を考えさせられる事例があります。
それがアップルの直営店舗アップルストアです。

家電メーカーは家電量販店を通して自社製品を売ることが一般的で、APPLEも同様に家電量販店で販売していました。しかし、家電量販店に並ぶ製品はそれぞれの区別がつきにくく、価格競争に巻き込まれてしまいます。これでは製品の良さが正しく伝えられないと感じた故スティーブジョブス氏は、顧客の問題解決のサポートと自社製品を売るための店舗としてアップルストアを展開しました。

アップルストアは2016年現在、世界中で400店以上も展開されていますが、ガラスとメタルを用いたシャープな外観、天井の高い開放的な内部空間など、標準的なフォーマットで作られ、どの店舗に入ってもアップルらしさを感じます。
また、Genius Barと呼ばれる技術サポートカウンターやソフトを体験できるレクチャーの開催など、サポート体制を整えることで、アップル製品の販売にとどまらない「ブランド体験」を提供しています。

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私たちの場所

これまでの話とは少し変わりますが、私たち、それからデザインは昨年末にオフィスを移転し、新たな場所で業務を開始しました。
新たなオフィスについての記事は、当ブログの「神宮前プロジェクト」でもご覧いただけますが、コワーキングスペースを併設したオフィスとなっています。

インテリアや素材選び、空間の作り方など、それからデザインらしさを感じていただける場所になっているのではないかと思います。少しの準備期間を経てオープンする予定ですので、みなさんお越しください。きっと、それからデザインのブランドを体験して頂けるのではないかと思っています。

この記事を書いた人

永井史威

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