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相手をイラつかせない怒らせない 話し方と聞き方のルール

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今回は「話し方・聞き方」について書かれた一冊をご紹介したいと思います。

日ごろお客様のご相談にお応えするなかで、YESを伝えるのは簡単ですが、どうしてもご要望に応えられない場合など、ときにはネガティブなことを伝えなければならないことも。そんなとき、相手を傷つけずに、自分が伝えたいことをスッと相手の胸に届けるにはどう伝えたらいいのか、ヒントをもらえたらと思い、本書を手に取りました。

著者の竹内 幸子さんは、コールセンターなどで経験を積んだのち、株式会社応対品質研究所を立ち上げ、クレーム対応・コミュニケーションのスペシャリストとして、多くの一流企業などに研修教育を行う人材教育コンサルタント。

そんな著者が自身の経験をもとに、コミュニケーションのノウハウを体系化し、「相手をイラつかせない話し方・聞き方のルール」を伝えているのが本書です。

「話し方・聞き方」と聞くと、コールセンターや顧客サポート従事者に向けた内容が書かれているのではと感じますが、実際は上司や同僚、友人、恋人、家族など、人と関わり合いをもつうえで、どんな場面でも大切にすべきことがおさえられている本でした。

そんな本書の内容を少しだけご紹介したいと思います。

相手をイラつかせない39のルール

本の中では相手をイラつかせる・怒らせる言動と、なぜその言葉が相手をイラつかせるのか、そして、イラつかせないための解決策について、39のルールに分けて紹介されています。

例えば、ルール3「地雷言葉を使わない」では、気をつけたい「NGワード」として、以下のような言葉をあげています。

「でも、だって、それは、けど…」

これらの言葉に続くのは批判や自分の考えを正当化するときに使われることが多く、この言葉を発すると、相手はこれから批判される!と警戒心を持ってしまうとのこと。思いを伝えるときはこの口癖を使わないことがコミュニケーションの第一歩。心の中ではわかっていても、意識しないとつい口に出してしまいそうですよね。

また、ルール4「否定型を使わないコミュニケーション」では、夫婦の会話を例に挙げて、否定言葉の怖さを伝えています。

「ねえ、土曜日、映画に行こうよ!」とワクワクしながら言うと、 「行けない!」と一蹴。 「なんだよ、せっかくキミとデートしたいと思ったのに!」 「だって、あなたのお母さんが、近くお邪魔するわ、って言ってきたのよ・・・!」

このあとはもう、険悪な雰囲気。 でも、同じ会話で否定の言葉を使わずに進めてみると…

「ねえ、土曜日、映画に行こうよ!」 「映画!いいわねえ。しばらく2人で出かけてないもんね。」 「ごめんね、ずっと忙しくて…」 「ううん、お疲れ様。でもね、私もこのところずっとさぼっちゃって、ちょっと家の中を片付けたいんだ…」

なんという、やさしい会話。 この例で、否定の言葉を使わないコミュニケーションが幸せな人間関係を作るということがよくわかります。できないことをできない!と言い切るのではなく、まずは相手の言葉を受け止めてから自分のことを伝える。これができれば、きっと相手も自分も穏やかにいられるのだろうと改めて感じる項目でした。

見えてくる自分の姿

39のルールを読み進めていくと、普段の自分ができていること、できていないこと、仕事上ではできていてもプライベートではできていないことなどが見えてきます。

各項目で具体的な解決策が挙げられているため、気になったルールを実践してみるだけでも、コミュニケーションがスムーズになります。また、人と話をするのも楽しくなるかもしれませんね。

相手の気持ちを考え、自分の気持ちも大切にしながら伝えるテクニックが書かれている本書。自分が発した言葉によって相手がどう感じるか?を考えることは、「おもいやり」そのものだと思う一冊でした。

相手をイラつかせない怒らせない 話し方と聞き方のルール
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クレーム対応スペシャリスト 竹内 幸子 著 かんき出版 2014年3月

この記事を書いた人

佐山祐紀

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