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イベントレポート「考える種を蒔く人」vol.4

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■TURN harajukuにて開催しているトークイベント「考える種を蒔く人」は、「デザイン(Design)」の意味を広く捉え、新しいビジネスを生み出している方をお招きしているイベントです。第4回目のゲストはモルタル造形作家・空間デザイナーの栗原規男さん。 モルタル造形とは、セメントと砂と水を練り混ぜた建築材料の「モルタル」と塗装でつくる造形技術のこと。栗原さんは、そのモルタル造形で、200年以上経過したようなアンティークな美しさを持つ建造物を、本物そっくりに作り上げる特殊技法のスペシャリストです タイル施工会社の二代目としての顔を持つ栗原さんは、一般住宅のタイル工事の仕事から、モルタル造形作家へキャリアを広げ、現在では、テーマパーク、店舗、住宅、映画やTVCMのセットメイキングなど、幅広い業界のクライアントから依頼が殺到する、モルタル造形を日本の一般建築に普及させた第一人者ともいえる存在です。 そんな栗原さんのクリエーターとしての生き様や純度の高いモノづくりの姿勢、そして、それらをしっかりと普及させていくビジネス感覚について佐野彰彦(それからデザイン 代表取締役)が掘り下げていく様子をレポートします! イベント後半では、実際のモルタル技法もライブでご披露!長い月日を経たような壁をあっという間に作り上げる栗原さんの一挙手一投足に、目も心も奪われる2時間となりました。(Report/杉山久美子@広報)  

第一部 トークセッション

アートとデザインの間

佐野彰彦(それからデザイン 代表取締役、以下佐):「アートとデザインは違う」と、みなさんも耳にしたことがあると思います。「アートは芸術、デザインは課題解決」とか、「アートはそれ自体が目的であり、デザインは手段である」など聞いたことありますよね。 会場:(うんうんとうなずく人多数) DSC09020 佐:これは私個人の考え方なんですけど、アートは〈想い〉、デザインは〈想いやり〉であると考えていて、異なる二つのものというよりは、重なる部分もあり、実はその重なっているところが大事なのではないかと思っています。 今日のゲストの栗原さんと僕は十年来のお付き合いになりますが、僕が思う栗原さんは、「アートとデザインのまさに間の重なる部分を、すごくちゃんとやっている人」だと勝手ながら思って、今日お呼びさせていただきました。社名も図らずとも〈デザインアートライズ〉(笑)。早速ですが、社名の由来から教えてください。 rise-logo 栗原規男(以下栗):元々〈ライズ〉という名前は入れたかったのですが、社名を決めるにあたり、デザインとアートのカテゴリーにはいたいなと思っていました。それで、〈ライズ〉だと少し寂しいので、デザインとアートを含めたら決まるかなと。当初はそんなラフな想いで決めたのですが、初っ端からこのテーマで話をするとは…やばい、面白い(笑)。 佐:(笑)。栗原さんとは、僕が独立したての時、知人の紹介で展示会のパンフレットを作るお仕事からお付き合いが始まったんですよね。世代が近いこともあり、すぐに意気投合して。 栗:そうですね、まだお互いに駆け出しでしたよね。その頃、デザインとして伝えたいこともやりたいこともありましたが、どちらかというと「仕事」というよりは自分の想いを形にする「アート」に重きを置きたくて、最初の2、3ヶ月は、自分が名付けた社名が重いかな、変えるなら今しかないぞ、なんて悩んでいた時期もあったんです。でも知り合いに、「名前なんて後からついてくるから、そんなに気にしなくていいよ」と言われてから、「この名前が10年後、15年後にどう捉えられるかは自分の行動次第だな」と思い直して今にいたります。この社名を名乗って11年以上経ちますが、今では良い名前を付けられたかなと思っています。 佐:僕もこの社名は栗原さんのやられていることを端的に表しているなと思います。ちなみに<デザインアート ライズ〉のロゴは実は僕が作らせてもらったのですが、11年経っても色褪せないこのデザイン、どうですか(笑)。 栗:僕、このロゴ大好きなんです。僕からロゴマークをつくりたいと言ったわけではなかったのですが、パンフレットのデザインを提案していただいたときに、佐野さんが「ロゴがないと伝わらないので、作りました」といって、もうパンフレットに入っていた(笑)。当初は、自分のイメージとはちょっと違ったんですけど、ロゴの角が丸く、生き様としてトゲトゲしたくないと思っていた自分に合うなと思ったし、シンプルで力強かった。このロゴに自分を寄せられるように頑張っていこうなんて解釈していました。今ではこのロゴで本当によかったなと、大切に使わせていただいています。 佐:ありがとうございます!

200年の時空を操る技術

佐:少し前フリが長くなりましたが(笑)、本題の「モルタル造形」について教えてください。 DSC09033 栗:なかなか馴染みがない言葉かもしれませんね。モルタルとは、セメントと砂と水を混ぜたペースト状のものを指します。家の外壁や、この会場の壁の仕上げにも使われているものです。 水で練っているので最初は柔らかいのですが、一日経てばしっかり固まってびくともしなくなる。日本ではそれを「平らにキレイに」塗るというのが常識ですが、僕がやっているモルタル造形は、平らに塗るのではなく、壁の上でレンガや石の形を作ったり、コテで削ってその上に着色をしたりして、ヨーロッパのような数百年もの歴史ある街並みを、数日間で表現するのがモルタル造形、モルタルカービングと言います。 モルタル造形で作られた壁を見たお客さんが「うわあ、ディズニーシーみたい」おっしゃるのですが、まさに同じ工法です。ディズニーシーの街並みで採用されたのを皮切りに、今では日本各地のテーマパークや店舗、一般の住居などでも採用されています。 栗原さんの手がけたモルタル造形 栗原さんの手がけたモルタル造形 佐:僕も最初見たときに驚きましたよ。まさかレンガや木に見えているもの全てが〈フェイク〉で作っているとは思わないじゃないですか。 く:そうですよね。レンガや木に見えて、全部モルタルを削ってその上に着色してこういうものを作っている、つまりセメントの粉と砂粒の固まりでしかないってことなんです。

心の中の景色

佐:今やモルタル造形作家として、様々な業界から引っ張りダコな栗原さんですが、モルタル造形をはじめて、仕事にするまではどんな道のりだったのでしょうか? 栗:元々僕はトイレやキッチン、マンションの外壁にタイルを貼るタイル職人でした。タイルももちろんヨーロッパで生まれているので、ヨーロッパの街並みの写真を参考にすることが多く、その中でヨーロッパへの憧れが生まれたんです。 ディズニーシーがオープンして、半年もしないうちに行ったんですけど、その時にこの壁に出合ってしまったんですよ。当時、モルタル造形のことなんて全然知らないし、どうやって作られているかもわからなかったんですけど、タイルやレンガを扱ってきた職人の長年の勘からして、「これは本物じゃないな」って思ったんです。でもこれこそが「自分の憧れのヨーロッパの街並みだ!すごい!」とものすごい衝撃をうけて。 当時はまだ、インターネットもそこまで普及していないし、調べる術もあまりなく、気にかけながらタイルを貼る日々だったのですが、とある現場で、モルタル造形をやっている職人さんにばったり会ったんです。「これだ!」「やっと会えた!」って感激して、「お金はいらないんで参加させてください‼」って押し掛けるように突撃(笑)。その人たちもすごく心良い人だったので「よかったら一緒にやりましょう」と誘っていただきました。 佐:栗原さんの思いの強さが引き寄せたかのようなエピソードですね。 栗:本当に奇跡に近い出会いですよね。今までのタイルの仕事は、こんな言い方するとあれですが、「自分の中ではここが苦労して大変だったんだよ、こんな工夫をしたんだよ、この現場は自分だから出来たんだ」なんて思っていても「職人だからキレイにできて当たり前」の世界で、自分の努力や工夫については、誰も評価してくれないんです。 でも、モルタル造形の仕事は誰が見ても「わあ、すてき。誰がやったんですか?」ってなるんです。タイル職人の仕事も嫌いではなかったのですが、モルタル造形には仕事の奥ゆきや将来性を感じ、「職人として絶対にやってみたい」という気持ちが抑えられなくて、この道に入りました。 佐:なるほど。一瞬のうちにその世界観にのめりこみ、仕事にしてしまったんですね。栗原さんの事務所の外観も栗原さんの作品なんですけど、本当にすごいんですよ。何度も行っているのですが、車で行くと突然フランスになるんですよ。埼玉県なのに。埼玉県フランス区みたいな(笑)。 栗:うちの事務所に来てくれれば、パスポートがなくてもフランスに行けます(笑)。 栗原さんの事務所外観 栗原さんの事務所外観 佐:こんな栗原さんですが、僕との出会いを振り返ると、西武ドームで毎年やっている「国際バラとガーデニングショウ」ですよね。 栗:そうでしたね。 当時は、ガーデニングショウがどんなものかも知らない、実績もないただのタイル職人でした。モルタル造形はタイル工事の仕事と並行してやっていました。モルタル造形をやっているといつも感動や発見の連続だったんですが、一般の方に知ってもらう機会がない。もっと色んな人に知ってもらいたいし、意見も聞きたいと思ったんです。 不景気と言われる世の中で、建築も何か魅力に欠けているとも感じていたし、僕がこれだけ感動して将来性のある仕事だと思ったモルタル造形を、一人でも多くの人に知っていただきたかった。そうしたら、たまたまうちから車で20分くらいのところでガーデニングのコンテストをやっているというのを聞いて、モルタル造形と植物の美しい庭をつくりたい!というイメージやアイデアが湧いて、勢いで応募してしまったんです。 佐:よく覚えています。あのとき、「絶対にいい展示をつくれると思う。大賞を取れる気がしている」と言っていましたよね。すごい自信だなと(笑)。 栗:そうしたら、初年度は奨励賞をいただきました! 佐:1,500あまりの応募の中から初年度で奨励賞ってすごいですよね。 栗:そうなんです(笑)。でも賞よりもうれしかったのは、主催者の方から「賞は奨励賞だったけど、実際のお客さんの入りが一番多かったのは、栗原さんの展示だよ」と言われたことで。 モルタル造形を始めたころ、昔からのタイル職人仲間からは、「タイル貼ってればいいのに」とか「モルタル造形って、真っ直ぐじゃなくてわざと下手くそに塗ればいいんでしょ」など言われて落ち込むことも結構あったんですよ。でも色々考えた時に、ガーデニングショウの来客数は20万人、知り合いの10人からとやかく言われて落ち込むのではなく、全く知らない20万人の意見に耳を傾けようと思ったんです。実際に、自分の作品が展示されていた間、多くの人の意見を直接きけたし、評判もいい。そういうことで2年目も応募しました。 DSC09031 佐:そして、2年目はついに「大賞」を受賞・・・。 栗:そうですね。 佐:あれは、僕も自分のことのように嬉しくて、感動しました。 栗:それで3年目は前回の大賞受賞者として出展を依頼されて、結局3年出せました。大賞の力ってすごくて、一気に知名度も上がり全国の方にも知っていただくことができました。佐野さんには初年度の出展のときから、パンフレット等のグラフィックデザインをやっていただいて…。 佐:そうですね。ありがとうございます。そこ触れていただいて(笑)。 栗:そのときのパンフレット、ものすごく印象に残っています。「心の中の景色」というキャッチコピーを作っていただいたんですけど、自分の作品をこんなにかっこよくしてくれるコピーを作り出す佐野さんってすごい!と感激しました。今でも大切にさせていただいている言葉です。 会場で受け取ったパンフレットってすぐに捨ててしまうじゃないですか。でもそのパンフレットを受け取った方の中に、「なんだか捨てられなくて」と何年も取っておいてくれている方がいらして、1年後、2年後に電話いただいてお仕事につながったということもあったんですよ。 佐:そうですか、それは作り手の僕にとってもうれしいです! 栗:佐野さんのデザインやコピーのお陰だと思っています。 佐:当時、デザインアートライズのデザインを作るにあたり、栗原さん自らが作っているモルタル造形の提案用資料があるというので、それを見せてもらったんです。そこには「これでもか!」というほど栗原さんの想いがあふれていて…というよりむしろあふれすぎていて。これじゃあ、一般の方には伝わらないだろうと(笑)。 栗:そうだったんですね(笑)。 佐:なので、栗原さんのモルタル造形の魅力を一つひとつ客観的に整理して、最終的に出来上がったものがあのキャッチコピーです。僕も3年連続して栗原さんの展示を見に行かせてもらったのですが、「展示の横に置いているパンフレットもあっという間になくなっていく」と聞いて、すごく自信になった仕事の一つでした。 栗:僕自身もいろいろな意味で契機になりました。 佐:「心の中の景色」と提案させていただいた話がでましたが、昨年デザインアートライズさんのブランディングを見直しましょう、ということで久しぶりにブランドコンセプト(キャッチコピー)をリニューアルしました。DIYなどの流行で注目されているモルタル造形業界で、栗原さんのポジションをどう作っていくのかを検討しています。当初はまだほとんど認知されていなかったモルタル造形も、今は手がけている人が増えている。それは実は栗原さんの功績でもあるんだけど、その中で第一人者としての取るべきポジションが栗原さんにはあるということで、現在ブランディングプロジェクトを鋭意継続中です。 デザインアートライズの大切なキーワードとなっているのは「プロヴァンス」です。ブランドコンセプト(キャッチコピー)は、「プロヴァンスを、今、ここに伝える」と新しくしました。 プロヴァンスとは、フランスの南東部にある地方なんですけど、プロヴァンスそれ自体が栗原さんのアイデンティティになっていると感じています。 栗:プロヴァンスは、フランスの人が夏になったら日差しを浴びに行きたいところとして有名なんですよね。そこにはじめて行ったときに身体にズバーと電気が通ったような、今までの人生がガラッと変わるほどの衝撃があり、この感動や魅力を壁づくりや空間づくりを通して一人でも多くの人に伝えたいと思い仕事をしています。

*ここで栗原さんが撮影したプロヴァンスをエピソードと共にご紹介*

◆「プロヴァンスブルー」とも言える澄みきった青空と、地元で採れた石を積み重ねて作った街並みのコントラストの美しさに虜になったという栗原さん。旅先で壁作りをしている現場に遭遇すると、いてもたってもいられなくなり、その現場に「乱入」をして一緒に壁作りをしてしまうそう。そんな栗原さんならではのエピソードとその(証拠!)写真に、会場でも驚きの声が上がりました。 プロヴァンスの街並 プロヴァンスの街並 france1 現地の現場に突撃!の証拠写真 現地の現場に突撃!の証拠写真

目的か、手段か。

佐:打ち合わせの中で、栗原さんは「自分のやりたいことというのは、本当はモルタル造形ではない」と言いきったのが、僕にはとても印象的でした。 栗:自分の思い描いた空間を作るのに一番適した方法が、モルタル造形だったということなんです。モルタル造形という手段を使わなくても、レンガを壁に貼ることや石を積むことはできるんです。ではモルタル造形は何が素晴らしいかというと、造作に「ストーリーを挟み込める」ところなんです。例えば、“この壁は雨や風が強くあたる場所だから、他の壁よりも漆喰がとけて、中にあるレンガが見えてきた”という物語を表現できる技法だと思ったんですよね。 日本は地震大国なので、その土地柄、建築工法として実物のレンガや石積みの壁を作ることが容易ではないんですが、この技法があれば、モルタルで壁にたった2センチの厚みを作るだけで、石積みやレンガ積みをしているような表現を作り出すことができる、そのことは僕にとって魔法のように思えたんです。僕の技術はまだまだですが、いつかは自分の思い描くプロヴァンスの景色に近づきたいと常に思っています。 僕にとっての最高の褒め言葉は、「この空間にいると日本じゃないですよね。プロヴァンスですよね」ということ。モルタル造形はもちろん好きですが、一番の根本は、プロヴァンスを作りたい、そしてその中にいつもいたいという気持ちなんです。 栗原さんが手がけたモルタル造形 栗原さんが手がけたモルタル造形 佐:栗原さんの作られたものが決定的に他の方と違うのは「造形している感じがしない」というところです。 「造形」の面白さや技術的な興味から生まれているものは、どこか「作られた感じ」がしますが、栗原さんの創作は、プロヴァンスの空気感、街の息づかい、そこに溶け込む建築物や壁の表情、そんな文化的な背景をデザインしようと意思がある。 つまり、「モルタル造形」から取り組んでいる作品とは、アプローチが全く異なっていると思います。 栗:なるほど、そう言われるとそうかもしれないですね。 佐:そのあたりの栗原さんの姿勢は、僕がやっている仕事にも通じるところがあるんです。僕はデザイナーとして、ロゴやウェブやグラフィック等のデザインをつくることを生業にしいるわけですが、僕にとってのデザインは、栗原さんでいうところもモルタル造形と一緒なのかもしれません。クライアントさんから依頼をいただいたら、そのクライアントさんの仕事を強く正しく魅力的に伝えられる方法を考えてカタチにすることが、自分の仕事だと思っています。その実現方法としては、場合によってはウェブやグラフィックでなくても、たとえばキャッチコピーのような「言葉」でカタチにすることもあります。つまり、単にデザインを作ることそれ自体が我々の仕事の本質ではなく、背景にある課題や想いを具体化することだと思ってます。栗原さんの考えに、勝手に共通項を感じています。

どのように仕事を獲得しているか

佐:モルタル造形やプロヴァンスの風景といっても、当初は市場に知られているわけではなかったと思います。僕も含めみなさん興味がある話だと思いますが、はじめた頃はどうやって仕事を作っていったのですか? 栗:最初は「仕事をする」というよりも「モルタル造形の技術を高めたい」という想いの方が強くて、親戚の壁などを借りて作品を作っていきました。そして自分が作ったものを撮影して印刷して常に持ち歩いていたんですよね。僕は話すのが好きなので、利益になるとか仕事になるとかを考えずに「こんな壁、作れるんですよ」とモルタル造形の魅力を言葉でも伝えることをしていました。 そんな時、あのキャッチコピーとパンフレットを作ってくれた佐野さんは、ウェブデザインもできる方と知り、全国の人に知っていただくべく、ウェブサイトをつくろうと思ったんです。 佐:サイトがオープンしてから何か変化がありましたか? 栗:まずは僕自身に変化がありました(笑)。佐野さんとサイトを作るために行った打ち合わせの中で、僕の前のめりな想いだけではなく、お客様が何を知りたいか、どう伝えると響くのかを意識する必要があることに気づかせてもらいました。それ以降、少しずつタイルの仕事よりもモルタル造形の仕事が増えてきたんです。 佐:思い出しますね。僕は今までブランディングのお手伝いを多数させてもらっていますが、ブランディングで成功できる人はある程度限られているなと思っています。ブランディングは、ウソをついて「よく見せる技術」ではないので、そもそも「いいもの」でなくてはいけない。あとは、自分の仕事に誇りや熱い思いを持っていて、自分の言葉で発信できるコミュニケーション力がある、それらの条件が揃っていないとブランディングは成功しないと感じています。振り返ると栗原さんはその全てを持っている方だなと思うんです…すみません、上から目線ですね(笑)。  

第二部 プレゼンテーション

◆制作現場の写真を見ながら「モルタル造形のできるまで」の紹介から始まった第二部。 そしていよいよモルタル造形の技術を皆さんの前でご披露! レンガの形を作る自作の型や大小さまざまのコテを使いながら、まだ塗りたてで柔らかいモルタルの壁を加工していきます。最初は真っ平だったモルタルの塗り壁が、あっという間にヴィンテージ感漂う壁に変身。すごい! 壁面にモルタルを塗っていきます 壁面にモルタルを塗っていきます まだ柔らかい塗り壁にレンガの型をつけ、立体感をだしていく 大小さまざまなコテを使い、風雨にさらされた時間を刻んでいく 5分もたたないうちに、モルタルだけで、レンガや木が露出してきたアンティークな壁が完成 佐:感性だけで作っているのかなと思いきや、“ここは風が強くあたったところ、ここは雨の跳ね返りがあたり壁が剥がれたところ”など一つひとつに栗原さんの観察眼が生きているなと感じました。 栗:そうですね。僕も何にも知識がないと造作ができないので、どうしたら壁が朽ちるのか、レンガが掛けるのかなどを詳しく観察していますね。自然だけがなせる雰囲気をいかに出せるか?はまだまだ研究中です。 佐:まだまだ栗原さんの技術を見ながらお話を伺いたいところではありますが、時間がきてしまいました。では最後に、恒例のこの質問をさせてください。 「栗原さんにとって、デザインとはなんでしょうか?」 栗:デザインとは、僕の頭の中で考えたことを発表する場なのかなと思っています。 いちいち言葉で説明しなくても、壁を見て、「この人こういうことを伝えたいんだね」と伝えられる力というのでしょうか。 佐:なるほど、すごく栗原さんらしいお考えですね。栗原さんの考えはきちんとみんなに伝わっているし、みんなの喜びになっている。アート寄りなんだけど、きちんとデザインとして機能している、そんな印象があります。 今日は素敵なお話とモルタル造形のレクチャーをいただき、ありがとうございました! 栗:楽しかったです。ありがとうございました!
話している姿、壁を作る姿から、「楽しくてしょうがない」「プロヴァンスの魅力をもっと伝たえたい」という想いが湧いているような栗原さん。会場にいる一人ひとりにも、わくわくとした思いや、一心にコトを追及するカッコよさが伝播した2時間でした。 個人的には、プロヴァンス地方や栗原さんの作品をいくつも見せてもらい、時空を越えてプロヴァンスに旅をした気持ちになり、目を閉じるとプロヴァンスブルーの青空が写ったほどでした。 Special thanks

この記事を書いた人

杉山

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