ブランドコンサルティングを手掛けるアメリカのインターブランド社が、2016年版のグローバルブランドランキングを発表しました。
同社は財務分析、ブランドの役割分析、ブランド強度分析などによって評価したブランドランキングを毎年発表していますが、2016年の日本企業の「グローバルブランドランキング」は以下のような結果でした。
1位 トヨタ
2位 ホンダ
3位 キヤノン
4位 ニッサン
5位 ソニー
6位 MUFG
7位 パナソニック
8位 ユニクロ
9位 レクサス
10位 ニンテンドー
上場していること、財務情報が公表されていること、海外売上高比率が30%以上であることなどが条件となるためランキングには大企業が並びます。自動車、エレクトロニクス関連のほか、6位のMUFGなど海外売上比率が30%を超えたことから、初めてランクインした企業も見られます。
一方、海外売上比率が30%に満たない企業をランキングした「ドメスティックブランドランキング」は以下のような結果でした。
1位 docomo
2位 Softbank
3位 au
4位 SMFG
5位 RECRUIT
6位 MIZUHO
7位 楽天
8位 suntory
9位 oak
10位 KIRIN
通信会社や飲料メーカーのほか、顧客の価値を追求する手法を海外に展開するRakutenが大幅にブランド価値を上げています。また、ベスト10にはランクインしていませんが、17位のMUJIはブランド価値向上率25%で、4年連続でブランド価値向上率1位を獲得しています。
インターブランド社の報道資料によると、「少子高齢化を背景にこれまで内需依存型産業といわれてきた建設・不動産,小売業,サービス業もグローバル市場を意識せずには成長が図れない状況のなか、自社の日本的経営の強みを磨き続けて築いた価値を,海外に展開するブランドが躍進している」という傾向が見られたようです。
日本のブランディング
最近では「ブランド」という言葉を新聞やテレビなどのメディアでもよく目にするようになりました。中小企業庁が中心となって進める「JAPANブランド育成支援事業」により、JAPANブランドという言葉も広く浸透しつつあります。品質やホスピタリティーなど、日本ならではの顧客価値の提供は、グローバルな視点では企業単体ではなく、日本の資産価値として機能します。世界・日本のような大きな単位でも「ブランド」という価値が注目されている、と言えます。
中小企業のブランディング
一方で、世界に進出できるのは今や大企業だけではありません。弊社でブランディングのお手伝いをしているクライアントの中にも海外展開を始めている企業があります。
ある部品メーカーさんの場合だと、WEBサイトを多言語化し、ボタン一つで日本語サイトと同じデザインのまま文字だけ英語、中国語に切り替えられる仕様にしました。品質の高さや品質管理にまつわるエピソードをストーリーで見せるなど、企業姿勢を伝えるためのコンテンツを盛り込んだところ、アメリカ、イギリスから直接メールで問い合わせが来るなどの効果が現れています。日本企業のホスピタリティーの高さをアピールしたコンテンツが海外で評価され、問い合わせにつながったのではないか、と思っています。
グローバルにブランディングをしようとすると、現地で広告やパンフレットなど「モノ」を展開する必要があり、大掛かりな戦略と費用がかかりますが、Webブランディングは世界中とつながるインターネットの世界で「情報」を展開するため、スモールスタートでグローバルなブランディングを行うことができます。Webブランディングの利点は場所を選ばないという点にもある、ということを示す事例ではないでしょうか。