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ブランディングにおけるWebサイトの役割ー後編

今や身近なブランディングツールとなったWebサイト。
前回はブランディングにおいてWebサイトがどのような役割を果たせるかについて、ブランドのもつ4つの機能のうち、「出所表示機能」と「品質表示機能」の二つに焦点をあてて考察しました。
今回は「宣伝広告機能」と「資産価値機能」について考えてみたいと思います。

宣伝広告機能

宣伝広告機能とは、同じような機能の製品でもブランド名がついている商品やサービスが選ばれるように、ブランド名が良いイメージを消費者に伝達するような機能のことを指します。
そして、このようなブランドの機能はユーザーの好感度を向上させるような継続的な広告宣伝活動を通して獲得されます。

では、企業の広告宣伝活動においてWebサイトはどのような役割を果たせるのでしょうか?

ランディングページ

Webサイトを使った広告宣伝活動というとランディングページと言われるキャンペーンサイトが代表的です。ランディングページでは動画や動きをつかって製品やサービスの世界観を伝えるという手法が取られます。しかし、このランディングページはブランドを醸成するようなものにはならないことが多く見受けられます。その理由は広告宣伝が目的化し、短期的な成果が求められてしまうために起こるのではないかと思います。

コーポレートサイト

Webサイトでブランドを構築するためにはコーポレートサイトと言われる企業のオフィシャルサイトを活用するのが効果的だと思われます。企業姿勢や理念を明確に打ち出し、企業のコンセプトを表明することができますし、製品情報など、紙媒体のカタログ的な情報を掲載することもできます。また、ユーザーサポート情報や評価コメントなど企業とユーザー、ユーザー同士の関係を築くメディアにすることも可能です。
また、近年ではオウンドメディアを使って情報を発信し、企業の魅力を継続的に伝える手法も登場しています。

Webサイトの媒体としての特徴

広告がテレビや新聞、雑誌のようなメディアを通して初めて人の目に触れるのと同じく、Webサイトも 作っただけでは誰にも見てもらえず宣伝効果も発揮しません。
Webサイト単体でなくインターネット広告を使ってWebサイトへの流入を促す、またはSEO対策で自然検索での流入を増やす、あるいはSNSをつかった拡散によってWebサイトに誘導するなどの施策もあわせて展開する必要があるという点は踏まえておかなければいけません。

Webサイトは写真や文字情報のほか動画やインタラクティブな動きなど、他の媒体に比べても幅広い表現が可能です。また、オウンドメディアのような情報を蓄積していくことも可能です。Webサイトはブランド体験を促進するのにも適したメディアだと言えると思います。

重要なのはWebサイトにどのようなコンテンツを盛り込むか。短期的な広告宣伝ではなく、ブランドのイメージ向上を意識したコンテンツを作ることが大切なのではないかと思います。

資産価値機能

最後にブランドの資産価値効果について考えてみます。

ブランドの資産価値とは、ブランドを単なる名前やロゴとしてではなく、企業資産として捉えようとするものです。カリフォルニア大学のデービッド・A・アーカーは、ブランド名やシンボルと結び付いたブランド資産を「ブランドエクイティ」と定義し、次の5つに要素分解しています。

・「ブランドロイヤリティ(ブランドへの忠誠心)」
・「ブランド認知(ブランドの認知度)」
・「知覚品質(ブランドの品質)」
・「ブランド連想(ブランドのイメージ)」
・「その他の無形資産(特許、商標など)」

ブランドが確立すると上記のように目に見えるものではないけれど消費者からのポジティブなイメージを獲得し、売上の安定、利益率の向上につながります。

ブランドが資産価値効果を発揮できるように、Webサイトはどういう役割を果たせばよいのでしょうか?ここでもやはりWebサイトにどのようなコンテンツを盛り込むかが重要だと考えられます。

インターネットの世界ではSEO対策など短期的な視点での効果を求められることが多くありますが、問合せ増や売上向上など短期的な視点ではなく、一見売上につながらないように見える活動であってもブランドロイヤリティを獲得できるような啓蒙的なコンテンツ、ブランド認知を得るような製品の見せ方など、ブランドのイメージ向上を意識したコンテンツを定期的に発信することが大切だと思います。

まとめ

企業ブランディングにおいては、これまでCIが先にあって、CIをWebサイトにどう展開するかという流れがほとんどでした。

しかし近年ではWebサイトのリニューアルをきっかけにブランディングに取り組む企業も増えていて、Webサイトを通じたブランディングに近年ますます可能性を感じます。

やがてはWebサイトの制作にあわせてCIやカタログなどのグラフィックツールもあわせて作るという流れも一般的になるのでは、と思っています。

この記事を書いた人

永井史威

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