ブランディング /

インナーブランディングを知っていますか?

企業のイメージなど、顧客との関係の中で語られがちな「ブランド」ですが、別の角度から見るとブランドの新たな価値が見えてきます。

当社でブランディングを手がけた企業の方に「CIやWEBサイトをリニューアルしてどんな反応や効果がありましたか?」と聞くと、「受注が増えました」とか「自社のことを知った状態でお客さんが来てくれるようになった」といった顧客からの反応のほかに、「社員のモチベーションがあがりました」というお話をいただくことがあります。

これは「ブランド」を構築することによって、社員が自社の価値や目指す姿を理解したために得られる効果で、このような社員に対するブランディングのことを「インナーブランディング」または「インターナルブランディング」と呼びます。

インナーブランディングの事例

Appleでは新入社員が出勤した初日に以下のようなメッセージを送っているそうです。

仕事。あなたの人生の仕事。 あなたの指紋が残った仕事。決して妥協しない仕事。週末を犠牲にしてでも取り組みたい仕事。Appleではそんな仕事をすることができる。無難に人生を過ごしたい人はここには来ない。一番深い所まで泳ぎたい人だけがいる。 仕事で何かを成し遂げたい人がここにいる。 何か大きなこと。他の場所では起こりえない何かを。 - Appleへようこそ。

このメッセージにおそらく多くの若者が惹かれるのではないでしょうか。”Appleらしい”エピソードですね。

また、「日本の工芸を元気にする」をビジョンに生活雑貨を扱う中川政七商店には「こころば」という仕事上の心得を10か条にまとめたものがあり、名刺サイズのプラスチックカードに印字し持ち歩けるよう社員一人ひとりに配布されているそうです。”社員が一人で辛くなった時に見返せるように”という想いがあるそうで、どういう姿勢で仕事に向き合えばいいのかが示されています。

Appleの事例も中川政七商店の事例も、社内に”その企業らしい”メッセージを発信することで自社の目指す姿を社員に示した、優れたインナーブランディングの事例と言えます。

インナーブランディングが大切な理由

顧客や従業員、経営者、、取引先、株主など、さまざまなステークホルダー(利害関係者)が企業を取り巻いています。

インナーブランディングは、社員向けのブランディングとして意図的に行われる場合もありますが、対外的なブランディングの副次的な効果としてインナーブランディングが働くケースもあります。

例えば対外的な企業PRで「お客様に選ばれるデザイン会社を目指しています」というメッセージが使われた時、社員がそれを見ることで「そうか、自分の会社は、お客様に選ばれなければならないんだ」という具合に自社の活動を自覚します。そして、自分自身もお客様に選ばれるデザイナーになろうと振る舞い始めます。

当社で、ある企業の社内活動をストーリーで紹介する企画を行ったところ、サイト公開後に担当の方から「WEBサイトに登場した社員が、自分のインタビューが掲載されているのを喜んで、ますます積極的に行動するようになりました」というお話をいただいたことがあります。対外的な企画ではあったのですが結果として社員の行動規範を再確認することに役立ったようです。このような社員の行動や振る舞いの変化は、さらにブランドイメージを強化することに繋がります。

つまり、インナーブランディングは、対外的なブランディングにも影響する重要な活動と言うこともできます。近年ではブランドを作るにはまず社内から、ということで企業理念や行動指針を再考するインナーブランディングからブランド構築を始める企業もあるようです。

採用活動におけるブランディング

当社ではよく採用情報に特化したWEBサイトの制作を依頼されることがありますが、採用サイトではコーポレートサイトよりも、よりインナーブランディングを意識します。

採用活動では、自社の業務にいかに貢献してもらえるかという観点のほかに、自社の企業姿勢や活動にどれだけ共感してもらえるかという観点も非常に大切です。特に中小企業では個の力の比重が大きく、社員の共感が欠かせません。できるならば、採用応募の段階でなるべく自社の姿勢に共感する方の応募を増やしたい。そこで、当社では採用サイトでも、コーポレートサイトと同じように社長メッセージや採用スローガンといった自社の目指す姿を示すコンテンツを提案しています。自社の姿勢を採用サイトに反映させることで「応募する方の自社への共感度が高くなった」「レベルの高い人材が獲得できた」というお話をいただきます。

これから社員になろうという方々に向けてのブランディング、これも広い意味でのインナーブランディングと呼べるのではないでしょうか。

テストテストテスト

採用に比重を置いたWEBサイト制作事例。社長インタビューや採用スローガンの提案からそれからデザインで手がけた

まとめ

ブランドは「こころに浮かぶ映像」です。大切なのは社外・社内いずれに対しても矛盾のないメッセージを発信し、社外、社内を含む、企業を取り巻くステークホルダーに共通のイメージを想起してもらうことではないかと思います。ブランディングを考える際には一度、自社の”らしさ”を再確認することが必要ですね。

この記事を書いた人

永井史威

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